外国人との「共生を考える」第三部、「ルーツの国で」シリーズ日系ブラジル人青年の日本での就学経験
毎日新聞滋賀版に掲載されている「共生を考える」第3部をご紹介。(昨年8月の掲載)
今回は「ルーツの国で」というタイトルで、日系ブラジル人の少年が家族とともに来日し、働きつつ、夜間高校を卒業して、日本語の研究者になるストーリーです。彼自身は、周りの支援もあり高校に入学して勉強を続けることができましたが、外国から来日した子供の多くが、就学困難な状況に陥る可能性があります。母語による親と子供の両方への支援も重要ということがわかります。
日本語究める3世/上 高1までブラジル 憧れなく、嫌だった来日
日本語究める3世/下 経験活かし教える側に 両国の距離近づけたい
以下、記事からの引用。日本語も母語のポルトガル語も中途半端で学校を落ちこぼれてしまう、いわゆる『ダブル・リミテッド』も問題です。
日系ブラジル人の子どもの多くは、次のような体験をする。
【事例A】
親は出稼ぎのつもりで来日し、ポルトガル語も学べるブラジル学校(県内には3校)に通わせる。しかし、すぐには帰国できず、日本文化になじめる公立小中に転校。子どもは日本語につまずき、やる気を失う。いじめに遭う例も。
【事例B】
親子で来日するも、出稼ぎ先を解雇され帰国。しかし本国でも仕事がうまくいかず再び来日。子どもはポルトガル語も日本語も中途半端に。また、良い条件の仕事を求め、日本国内を転々とし、子どもがそのたびに転校することもある。
【事例C】
日本で生まれながら、親がポルトガル語しか話せず、日本語をうまく話せない。親は「学校に行きなさい」「勉強しなさい」と言うものの、日本の教育制度を知らず、進路の助言もできない。学校からの連絡文書も伝わりにくい。