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日系 Nikkey パートナーズ

日系人、ボランティア、開発について、自分の勉強のためにも書いていきます。

『移民の詩 大泉ブラジルタウン物語』多文化共生への地道な歩み

『移民の詩 大泉ブラジルタウン物語』を読みました。いつでも読めると積読状態でしたが、日系人に対する自分の認識も新たにしつつ、一気に読めました。

群馬県大泉町といえば、ご存じの方も多いと思いますが、日系人を中心としたブラジルタウンとしても有名。町民の10人に1人、約4000人が日系人とその家族です。この大泉町日系人や関係者を丁寧に取材し、彼らの喜怒哀楽を生き生きと描いた作品となっています。

移民の詩 大泉ブラジルタウン物語

移民の詩 大泉ブラジルタウン物語

 

取材対象人物は多彩です。 サンバによる町興しに参加するダンサー、教会の牧師、奮闘する町長、日系ギャング、元プロ野球選手(以前の投稿で紹介した瀬間仲ノルベルトさん)など。そして、それぞれが、日本人との本音の付き合いづらさ、学校でのいじめ、日系人としてのアイデンティティの悩み、日本人や地域住民との軋轢などの問題を抱えながらも着実に日本で生き抜いています。

日系ブラジル人が日本で働くようになって、四半世紀以上が経過。1990年に施行された入国管理法改正により、一時は30万人以上にまでふくれあがったものの、リーマンショックを機に帰国したものも多く、人数的には減少してきています。他方、最初は一時的なデカセギで来日した人の多くが、日本に定住しています。また、未だ様々な問題があるのも事実ですが、地域社会と積極的に関わろうとする日系人も増え、同時に、彼らを同じ地域住民として受け入れようとする日本人も着実に増えています。

この本を読んで、大泉町における25年間の日系人と日本人の共生までの、容易ではなかった道のりが少しでも理解できた気がしました。そして、日本全体で外国人との共生についても、そんなに悲観的に考えなくてもいいのではないかという安心感も持たせてもらえました。

 (本文より)

生活習慣の違いから生まれた日系人と日本人の間の軋轢。そこから肥大化していった日系人への偏見。アイデンティティに苦悩し、ときに苛烈ないじめにさらされた日系人の若者。日系人が関与していた闇社会の存在。社会保障の枠組みからこぼれ落ち、生活保護を受ける立場となった高齢の日系人労働者たち・・・・・。

(中略)解決されなければならぬ問題はまだまだ山積している。(中略)

昨今の世界では、民族や国籍、そして宗教を要因とした排斥主義が再び大手を振って横行している。「不寛容さ」が頭をもたげる時代であるからこそ、こうした共生への地道な歩みは強い眩さを放つ。たとえそれば、日本の一つの小さな町の出来事であろうとも。 

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