日系 Nikkey パートナーズ

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『ハルとナツ 届かなかった手紙』と野際陽子さん

女優の野際陽子さんが6月13日に亡くなられました。数多くのドラマや映画に出演されましたが、日系社会にとっては、2005年にNHKが放送80周年記念ドラマとして5回にわたって放送した『ハルとナツ 届かなかった手紙』のナツ役(平成編)が印象に残っているのではないかと思います。

このドラマは、1934年(昭和9年)、北海道からブラジル・サンパウロに家族とともに移民した姉のハル(9歳)と、眼病のため独り日本に残された妹・ナツ(7歳)の姉妹が主人公。ブラジルで移民として苦難の道を辿ったハル、戦中戦後の激動の日本で生き抜いたナツが、70年ぶりの再会を果たし、互いに書き送りながら「届かなかった手紙」によって離れ離れとなっていた70年間の歳月を埋めていきます。 ストーリーは平成編と昭和編が交錯しながら展開されていきますが、姉のハル役を斉藤奈々米倉涼子、森光子、妹のナツ役を志田未来仲間由紀恵野際陽子のそれぞれ3人がリレーして演じています。

姉のハルと家族のような戦前のブラジル移住者は、その9割がコーヒー農園の契約労働者であり、慣れない南米の土地での厳しい環境で、重労働に耐えて困難の日々を送ったといわれます。ドラマにおいては、2ヶ月に及ぶブラジルロケによりコーヒー園や当時の住居をリアルに再現し、移住者の苦難がとてもよくわかるように描かれています。なお、800人を超える日系人のエキストラも参加しました。

ハルとナツという姉妹の人生を通じて、日本とブラジルの日本人史を描いた壮大なドラマともいえます。その中で、野際さんのクールながらも、姉を慕うナツ役は家族への愛情をしっかりと感じさせてくれる演技でした。涙なくては見られない良質のドラマでああると思います。この機会に是非。

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