日系 Nikkey パートナーズ

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「人材こそ資源」外国人を労働者としてではなく生活者として受け入れと説く、国松元長官

朝日新聞かつて警察庁長官を務めた国松氏の外国人受け入れ論の記事が掲載されていました。

digital.asahi.com

日本全体で労働力が不足している中、技能実習制度や日系人在留資格の緩和、EPAによる看護師・介護士受け入れなどの施策を実施してきていますが、国松氏は外国人を移民や安い労働力ではなく、「生活者」として受け入れてはどうか、という提言をされています。

スイスでの大使のご経験から、日本もスイスも「人材ことが資源」であり、外国人にきちんと言語教育や職業訓練を施し、能力に見合う仕事や役職に就く機会を与えることが重要と説いています。もちろん、給与や待遇も日本人と同等です。

スイスの外国人受け入れの基本理念は『Assimilation(同化)』ではなく、『Integration(統合)』。経済、社会、文化的にスイスに溶け込んでもらうのが最優先で、政府もそのためにカネを出す。固有文化を守ることにはとやかくいわないけれど、移民だけで固まるのは妨げになるのでやめてほしい、という姿勢とのこと。

日本での外国人の受け入れは、これまで自治体やNGO/NPOなどの支援に頼り、ボランティア善意に支えられてきた部分が大きく、そのため十分な支援が届いていない人々が多くいるのが現状です。だから政府が外国人受け入れや支援体制について制度を整える必要があるとのこと。

記事にもあるように、今は若い人口が多いアジア諸国も次第に高齢化と労働力不足になるはずです。今のうちに、受け入れ態勢を整えておかないと、こちらからお願いしても来てくれなくなります。「受け入れてあげる」という発想は時代錯誤という国松氏の考えには同意見です。

外国人受け入れには、ドイツなど欧州の状況を見ると、ネガティブな面ばかりが注目されます。治安面も心配ですし、差別や軋轢が生まれ、格差社会が進むのではとか、日本文化や習慣が崩れるのではといった意見も当然あります。ドイツのメルケル首相がドイツの移民政策が失敗であったと認めたというのも大きく報道されました。

www.huffingtonpost.jp

そのような中で、日本が外国人を適切に受け入れることができるかどうか、確かに疑問や不安もあります。ただ、外国人受け入れは、日本の経済発展、新たな産業創出と国際競争力維持、そして少子高齢化社会には、待ったなしの状況ではないかとも考えます。実際に、外国人労働者は増え続けています。早急な対応、しっかりとした政策が必要なのは間違いないですね。その意味で、国松氏のような方が発言されるのは重要で、もっと前向きな議論ができるようになればと思いました。

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