日系 Nikkey パートナーズ

日系人、ボランティア、開発について、自分の勉強のためにも書いていきます。

映画『エルネスト』、フレディ・マエムラの故郷ボリビア・トリニダと日系人

キューバ革命の英雄であるエルネスト・チェ・ゲバラ、そしてゲバラと共にボリビアで戦ったフレディ・マエムラを描いた映画『エルネスト』を見ました。

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映画は前半のゲバラ広島訪問と、後半のキューバボリビアに大きく分かれています。特に前半のゲバラの広島訪問の描写がとても良かった。平和公園原爆死没者慰霊碑に書かれている「(安らかに眠って下さい)過ちは 繰返しませぬから」になぜ主語がないのかと指摘したことや、原爆資料館の視察で「アメリカがこんなにひどいことをしたのに、どうして日本人は怒らないのか」という言葉、観光せずに原爆病院の患者を見舞うシーンなどは、ゲバラの人間的魅力、カリスマ性が感じられました。

ちなみに、碑文の英訳は「Let all the souls here rest in peace ; For we shall not repeat the evil」で、主語の“We”は、世界の全ての人々を指すとの解釈だそうです。

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そして、映画後半はボリビア日系人フレディ・マエムラキューバゲバラと出会い、ボリビアでの戦闘に参加して挫折する話。淡々と描かれている中で、オダギリ・ジョースペイン語での演技が素晴らしかった。見る価値ある映画と言えます。

 

さて、映画の主人公の一人であるフレディ・マエムラボリビア日系人です。ボリビア日系人といえば、戦後にサンタクルスに移住した方とその子孫が、オキナワ移住地とサンファン移住地を開発し、農業・牧畜を中心として現地で活躍されています。

しかし、ボリビアへの最初の移民は、そこから約半世紀さかのぼって、1899年と言われています。同年にペルーにサトウキビ農園の労働者として渡った日本人移民が、厳しい労働条件や生活環境を嫌って、4,000m以上ものアンデス山脈を越えてボリビアへ再移住しました。当時、天然ゴム生産が盛況であったのがボリビアのベニ県。リベラルタという街がその中心でした。その後も労働者が流入。ゴム景気が終わった後も、同じベニ県のトリニダや首都となるラパスなどにも転住し、現地女性と結婚し、農業や商業活動等に従事しました。

フレディ・マエムラ父親の前村純吉(1893年 - 1959年)は、鹿児島県出身で上記のようにボリビアに移民し、ボリビア人女性と結婚して、トリニダという街で商店を経営していたようです。その次男として生まれたのがフレディです。

ベニ県はボリビアの北東部にあり、その県都がトリニダです。トリニダには今でも日系人が居住し、既に三世、四世の世代となっていますが、日系人協会も存在しています。

トリニダはアマゾン川の支流の一つであるマモレ川の岸に位置しています。映画でもフレディが自分を「水の中の石」と錯覚するシーンが何度も流されていましたが、フレディの心の中にあったのが故郷のマモレ川であったのでしょうか。そして映画のエンディングに流されたのが、En las playas del Beniというボリビアで有名な歌でした。この歌も映画にマッチして良かった。

 

En las playas del Beni(ベニの浜辺で)

En las playas desiertas del Beni(ベニの砂の浜辺で)
un viajero de pálida faz (淡い顔の旅人が)
que al mecerse en su hamaca pensaba(ハンモックに揺られながら考えていた)
en su amor y su tierra natal(愛と故郷を)

Y mirando las ondas del río(川の流れを見ながら)
donde duerme el temible caimán(そこには恐ろしいワニが眠っている)
y espumosas se ven las cachuelas(泡立つ急流が見える)
con sus tumbos sepulcros cavar(墓を掘るように落ちながら)

Y ante el negro horizonte decía(暗い地平線を前に言った)
tal vez niña no vuelva jamás(おそらく娘は戻ってこないと)
y el rumor misterioso del bosque(そして森の神秘的な噂は)
contestaba ya no volverá(もう戻ってこないとこたえた)

※適当な翻訳なので、間違いがあるかもしれません。ご容赦ください。

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