在留外国人、2016年末で最多238万人(6.7%増)、ブラジルは人数増も順位は5位に後退
法務省が3月17日に発表したデータによると、2016年末(平成28年末)の在留外国人数が238万2822人で、前年末比6.7%増加。これで4年連続の人数増、そして2年連続で過去最高を更新しています。
法務省:平成28年末現在における在留外国人数について(確定値)
1.国籍別人数
国籍別で見ると、中国が約3万人増加して、首位を継続。2位の韓国は微減。そしてベトナムが36.1%増の19万9990人となり、ブラジルを抜いて第3位となっています。なお、登録された国籍・地域の数は196(無国籍を除く)。
国籍・地域 | 人数 | 構成比 | 増減率 | |
1 | 中 国 | 695,522 | 29.2% | + 4.5% |
2 | 韓 国 | 453,096 | 19.0% | - 1.0% |
3 | フィリピン | 243,662 | 10.2% | + 6.1% |
4 | ベトナム | 199,990 | 8.4% | +36.1% |
5 | ブラジル | 180,923 | 7.6% | + 4.3% |
6 | ネパール | 67,470 | 2.8% | +23.2% |
7 | 米 国 | 53,705 | 2.3% | + 2.7% |
8 | 台 湾 | 52,768 | 2.2% | + 8.3% |
9 | ペ ル ー | 47,740 | 2.0% | + 0.0% |
10 | タ イ | 47,647 | 2.0% | + 5.0% |
そ の 他 | 340,299 | 14.3% | + 9.9% |
2.在留資格別
在留資格別では、技能実習が18.7%増で過去最多。政府が推進している留学が12.4%増となっており、この二つが全体的な増を引っ張っています。なお、不法残留者も6万5270人で3年連続増加しています。
在留資格 | 人数 | 構成比 | 増減率 | |
1 | 永 住 者 | 727,111 | 30.5 | + 3.8% |
2 | 特別永住者 | 338,950 | 14.2% | - 2.8% |
3 | 留 学 | 277,331 | 11.6% | +12.4% |
4 | 技 能 実 習 | 228,588 | 9.6% | +18.7% |
5 | 定 住 者 | 168,830 | 7.1% | + 4.5% |
そ の 他 | 642,012 | 26.9% | +10.3% |
3.ブラジル人(日系人)の増減
ブラジル人の増減について下表にまとめてみました。そのほとんどを定住者である日系人が占めています。2009年のリーマンショックで大きく減少した後、減少傾向が続いていましたが、9年ぶりに増加に転じました。ブラジルの不景気もその原因で、厚生労働省が発表している「外国人雇用の届出状況」を見ても、日本で合法的に就業できる日系人が再び戻ってきているようです。
2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | |
人数 | 308,703 | 313,771 | 309,448 | 264,649 | 228,702 | 20,265 | 190,609 | 181,317 | 175,410 | 173,437 | 180,923 |
増減 | ー | 5,068 | -4,323 | -44,799 | -35,947 | -19,437 | -18,656 | -9,292 | -5,907 | -1,973 | 7,486 |
増減率 | ー | 1.64% | -1.38% | -14.48% | -13.58% | -8.50% | -8.92% | -4.87% | -3.26% | -1.12% | 4.32% |
4.まとめ
日本の雇用情勢が改善している中、日本の労働力不足を実質的に補っている「技能実習」と、政府が公約に掲げる「留学生」の増が在留外国人の増加を引っ張っています(留学生も重要な労働力でもあります)。
また、もう一つ注目されるのが、高度の専門的な能力を持つ外国人の受け入れを促進させるため、2014年(平成26年)に新設された「高度専門職」ビザ。母数は少ないものの、昨年比149%増となっています。
技能実習、留学生、高度専門職、定住者とも、日本に貢献できる人は残っていただきたいと思いますし、そのためには受け入れ態勢を更に整えていくことが必須ですね。