「ハパ・ジャパン・フェスティバル」ロスアンジェルスで開催される日系人(混血)の祭典
「ハパ・ジャパン・フェスティバル」は南カリフォルニア大学宗教学のダンカン・ウイリアム教授が中心になって2011年から行われているイベントです。2017年は2月22日から26日まで、リトル東京の全米日系人博物館と南カリフォルニア大学(USC)キャンパスを会場として実施されました。
「ハパ(Hapa)」とは、ハワイ語で「半分」という意味で、人種の異なる両親の間に生まれた子を示す言葉です。
このフェスティバルは、日本人との国際結婚によって生れた日系人をテーマに、映画や音楽、文化から、学術会議などの内容で、幅広い層が参加しています。主なコンテンツとしては、以下のとおり。
1.映画『Born With It』
アフリカ系日本人の小学生ケイスケが、日本人との見た目の違いを少しずつ受け入れていく様子を描いた短編映画。
2.NHK シリーズ ミックスルーツ 第1回 「ふたつの祖国に胸を張れ!―サンシロー・ガーナを行く―」
日本人の父親とガーナ人の母親の間に生まれた3兄弟のボーカルユニットYANO BROTHERS。彼ら自身がミックスルーツを持つ自らのアイデンティティを受けいれるまでのプロセスを描く。
3.写真展『Hāfu2Hāfu』
Tetsuro Miyazakiによる日系混血の写真展。
4.映画『Rising Sun, Rising Soul』
第二次大戦後にアメリカの黒人と結婚して渡米した日本人花嫁と、その子供の米国での人生やアイデンティティを記録。
5.映画『七転び八起き - アメリカへ渡った戦争花嫁物語 Fall Seven Times, Get Up Eight: The Japanese War Brides』
戦後間もなくして渡米した約5万人の戦争花嫁たちの数奇な運命をたどるドキュメンタリー。
6.映画『Mixed Match』
混血人種の骨髄移植適合の難しさを描いたドキュメンタリー映画。
7.コンサート
(1) Kina Grannis
(2) Marié Digby
(3) Kris Roche
(4) Andy Suzuki & the Method
このイベントを企画したウィリアムズ氏は、日経新聞の記事によると、人口減少が進む日本の今後を考える上でも日系人・日系の混血であるハパの存在意義は大きく、日系ハパは『移民国家としての日本』という明るい将来像を描くための鍵となる存在」と答えています。
最後に、2013年にJICA海外移住資料館で『日系人と混血-Hapaとメスチッソ-』という企画展を実施していました。以下の「移住資料館だより 2013年秋号」に詳しい解説がありますので、ご一読を。
2017年の日系人メジャーリーガー(クリスチャン・イエリチ、カート・スズキ、ダーウィン・バーニー他)
2017年のMLBが開幕しました。今年も日本人メジャーリーガーの活躍も楽しみですが、クリスチャン・イエリチ選手を始めとする日本にルーツを持つ日系人選手の活躍も期待したいです。主な日系人選手のうち、メジャー登録となった選手、残念ながらマイナースタートとなった選手をまとめてみました。メジャーで活躍する人数が少ないのがちょっと残念ですね。
【メジャー】
1、クリスチャン・スティーブン・イエリチ(Christian Stephen Yelich) 外野手
1991年12月5日(25歳)
日系3世(母型の祖父が日本人)
WBCでもレギュラーとして活躍。今年、飛躍が期待される選手。
2、カート・スズキ(Kurt Suzuki) 捕手
1983年10月4日 (33歳)
日系3世(祖父母が愛知県名古屋市出身)
ツインズからFAで移籍。2017年アトランタ・ブレーブスと1年150万ドルで契約締結。
今年はバックアップ捕手の立場から、正捕手をTyler Flowersと争う。
3、ダーウィン・バーニー(Darwin Barney) 内野手
1985年11月8日(31歳)
日系3世(母方の祖父が日本人、祖父の苗字は山本)
2016年は内野のユーティリティとして起用され、3年ぶりの100超となる104試合に出場。打率.269・4本塁打・19打点・2盗塁・OPS0.695という成績を記録。
4、デビッド・レイ・ロバーツ(David Ray "Dave" Roberts) 監督
1972年5月31日(44歳)
沖縄県でアフリカ系アメリカ人の父親(退役軍人)と日本人の母親の間に生まれる。
就任2年目。昨年は1年目にして地区優勝を果たし、最優秀監督賞を受賞。
【マイナー他】
5、カイル・ヒガシオカ(Kyle Higashioka) 捕手
ニューヨーク・ヤンキース(マイナー:Triple-A RailRiders)
1990年4月20日 (26歳)
日系3世
初の40人ロースター入り、残念ながら開幕はマイナースタートとなったが、初のメジャー昇格を狙う。
6.ジェレミー・ガスリー(Jeremy Guthrie) 投手
ワシントン・ナショナルズ(マイナー:Triple-A Syracuse)
1979年4月8日(37歳)
日系4世(母親が日系アメリカ人)
ベテラン右腕。招待選手としてキャンプに参加するも、開幕メジャーはならず。
7.ジョーダン・ヤマモト(Jordan Yamamoto) 投手
ミルウォーキー・ブリュワーズ(マイナー:Single-A CAROLINA )
1996年5月11日(20歳)
日系3世(日本人を祖父に持つ)
8.加藤・ジョン・豪将(Gosuke Kato) 内野手
ニューヨーク・ヤンキース(マイナー:Single-A Charleston)
1994年10月8日(22歳)
両親とも日本人、カリフォルニア生まれ、日本とアメリカ両方の国籍を持つ。
ちょっと伸び悩んでいる印象があります。
9.シェーン・ビクトリーノ(Shane Victorino)外野手
シカゴ・カブスから2016年にマイナー契約解除後、去就は表明していない。
1980年11月30日(36歳)
日系3世(母型の祖父が日本人)
10.ブランドン・リーグ(Brandon League) 投手
カンザスシティ・ロイヤルズ(マイナー)契約を結び、スプリングキャンプに招待選手として参加も、3月28日にリリース(自由契約)。
1983年3月16日(34歳)
日系4世(曽祖父母が福岡県生まれ)
トラビス・イシカワ(Travis Takashi Ishikawa)は引退したのでしょうかね。シェーン・ビクトリーノ、ブランドン・リーグのベテラン陣も去就が気になります。若手がもっと出てきてほしいところです。
なお、広島で活躍しているクリス・ジョンソンも実は日系人(祖母が日本人)。上記に記載した以外にも、日系人はいるかもしれません。
4月3日は日本ペルー友好の日、1899年に790名の日本人がペルーに到着した日に由来
4月3日は「ペルー日本友好の日」です。
日本からペルーに最初に集団移住したのが、1899年(明治32年)。サトウキビ畑や製糖工場で働くために、790名の日本人が移民船「佐倉丸」で横浜港から太平洋を渡り、1899年4月3日にペルーのカヤオ港に到着しました。南米への集団移民としては最も古いものです。これを記念して、移住90周年にあたる1989年にペルー政府が4月3日を「ペルー日本友好の日」として制定しました。
契約労働者としてペルーに渡った最初の日本人たちは、厳しい労働環境、生活環境の中で、多くの人が風土病や過労で倒れ、入植から約1年半後までに790名のうち124人が亡くなったと言われています。
その後も約3万6千人の人たちがペルーに移住。苦難を経ながらも、少しずつペルーの社会で生活の足場を築いていきました。現在ペルーの日系人は、約10万人と推定されています。
日系ペルー人で有名な方といえば、元大統領のアルベルト・フジモリ氏でしょう。娘のケイコ・フジモリ氏も 国会議員となり、過去2度、大統領選挙に出馬していますが、いずれも当選を逃しています。そのほか、沖縄発のバンド「ディアマンテス」のアルベルト城間さんが有名ですね。
ペルーの移住の話でもう一つ。移住100周年にあたる1999年2月(平成11年)に横浜みなとみらい21地区の一角にある臨港パークに、記念石像の「リマちゃん」が設置されています。この「リマちゃん」はペルーの方向を向き、右手を差し出して立っており、訪れた多くの方が友好の握手をされます。ぜひ、一度、訪問してみてください。
ちなみに、ペルーのリマにも同じような銅像「さくらちゃん」が立っています。二つの銅像が両国の友好をつなぐように設置されているんですね。
さて、例年、4月3日あたりに日本またはペルーで記念イベントが開催されます。今年は大使館関係のイベントはWeb上で見つけられませんでした。なお、在京のペルー新大使が4月に着任されるようです。フォルサイト駐日大使の披露会 : 在ペルー日本国大使館
「日本ペルー友好協会八街」の主催では、第3回ペルーフィエスタ2017 en Yachimataが4月9日(日)に開催されます。
【U30のコンパス】「日本で暮らす」本音話せる月1回の相談 学校巡る日系人先生
共同通信の記事「U30のコンパス」で、愛知県の外国人生徒を支援する制度である「語学相談員」を担う日系人にフォーカスが当てられています。
主人公は菊地健二さん(29)。名古屋市周辺の小中学校約30校でポルトガル語による通訳や個別相談を通じ、外国人生徒と教員の間の橋渡しをしています。
菊池さんは、家族とともに16歳で来日。しかし、日本語の壁もあり勉強が困難になったことなどもあり、愚れてしまいヤンキーに。しかし、教会に通い悩みを打ち明けられるようになって更生することができたとのこと。愚れて悪さしたことは後悔しているが、その経験があるからこそ、悩んでいる子供たちの相談になることができると話しています。
菊池さんの仕事は、1日に2校程度を回って、生徒の日本語指導、授業に入っての支援、翻訳、保護者会の通訳などをこなす毎日。特に担任から保護者への進路説明は責任があるからこそ難しい仕事で、間違いがないように気を付けて対応しているということです。
「自信をもって自分の夢をあきらめないで」、菊池さんからの子供たちへのメッセージでした。
さて、菊池さんが働いている「語学相談員」という業務ですが、愛知県における外国人児童生徒に対する支援事業の一環です。愛知県は、日本語指導を必要としている児童生徒の公立学校への在籍数が国内で最も多い県であり(約6千人、2014年)、支援内容が充実しています。
出展:平成27年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(愛知県)
「語学相談員」はポルトガル語4名、スペイン語5名、フィリピノ語2名の計11名体制。「語学相談員」公募における業務内容は以下のようになっています。児童への支援のみならず、保護者に対する支援も含まれていますね。
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業務内容
主に、配置先の教育事務所計画に基づいて公立の小学校または中学校を訪問し、以下の業務を行う。
(1) 日本語指導が必要な児童生徒に対する語学指導の補助及び学校生活に関する相談 ・適応指導 ・教科学習指導の補助
(2) 保護者に対する教育相談及び保護者と学校の意思疎通を図るための通訳
(3) 教科書や学校からの通知文等の翻訳
(4) 指導手引書・教材作成の援助
(5) 親子交流会等に関する援助
(6) 教職員研修会等における助言
(7) 進路指導等における通訳および助言
(8) その他所属長が命じた職務
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「語学相談員」は日系人の他、JICAの日系ボランティア経験者も活躍しているようです。以下は、日系ボランティアとしてブラジルで活動経験のある久保 真希子さんの記事。
出来ることから始めよう、学校での多文化社会に触れて | 「人」明日へのストーリー | JICA中部 - JICA
「中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会」の第二回会合開催、福岡の海外移住
外務省による「中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会」の第二回会合が、3月27日に開催されました。結果は以下の外務省のサイトで報告されています。
中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会第2回会合(結果) | 外務省
第一回会合は3月6日に開催されており、概要は過去の投稿を参考にしてください。
第二回会合の概要と、福岡県の移住について簡単にまとめてみました。
1.テーマ
「中南米日系社会の現場と世代交代を踏まえた連携のあり方」
2.発表者等
(1)薗浦外務副大臣挨拶
今回の会合での期待は以下の問題意識を踏まえた議論
①日系社会・団体の現状や交流に関する現状と課題
②従来の日系社会・日系団体の存在感,信頼感をどのように受け渡していくか
③若い世代のリーダー育成に向けて,どのように若い世代に日本への関心を持ってもらうか
(2)福岡県の国際化に寄与する海外福岡県人会のネットワーク(福島福岡県庁企画・地域振興部理事兼国際局長):福岡県が行っている海外の県人会の人材育成事業や県人会のネットワークを生かした福岡県のプロモーション活動について
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000242051.pdf
(3)次世代日系社会リーダーの育成・企業と日系社会の関わり等(森本海外日系人協会常務理事):日系社会若手リーダー育成事業等についての提案
3.今後の予定
第三回会合:4月12日(水)
・テーマ別議論(「日系社会の活動の裾野の拡がり」を踏まえた連携のあり方)
i. 非日系人の参画/非日系人への訴求
ii. 様々なネットワークの拡がり
第四回会合:5月9日(火)
・補論
i. 日系社会人材の活用,在日日系社会
・報告書とりまとめ「中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会」
4.福岡県の海外移住について
福岡県は、海外移住者数が約58,000人と全国で4番目に多い県です。そのため世界9ヶ国21地域に移住者による海外福岡県人会があり、様々な交流事業や、世界福岡県人会も定期的に開催されるなど、世界と福岡を結ぶネットワークが強いことが特徴ともいえます。福岡県出身の日系人としては、有名な方も多く、日系アメリカ人初の連邦議員となったダニエル・イノウエ氏や、初の日系人宇宙飛行士エリソン・ショージ・オニヅカ氏、元ハワイ州知事のジョージ・アリヨシ氏などがいます。
2016年3~6月には、JICAの海外移住資料館で、「ルーツは福岡 夢は世界へ ~世界で活躍する福岡移民~」という企画展が開催されていましたね。
「海外移住資料館だより」2016年春号
在留外国人、2016年末で最多238万人(6.7%増)、ブラジルは人数増も順位は5位に後退
法務省が3月17日に発表したデータによると、2016年末(平成28年末)の在留外国人数が238万2822人で、前年末比6.7%増加。これで4年連続の人数増、そして2年連続で過去最高を更新しています。
法務省:平成28年末現在における在留外国人数について(確定値)
1.国籍別人数
国籍別で見ると、中国が約3万人増加して、首位を継続。2位の韓国は微減。そしてベトナムが36.1%増の19万9990人となり、ブラジルを抜いて第3位となっています。なお、登録された国籍・地域の数は196(無国籍を除く)。
国籍・地域 | 人数 | 構成比 | 増減率 | |
1 | 中 国 | 695,522 | 29.2% | + 4.5% |
2 | 韓 国 | 453,096 | 19.0% | - 1.0% |
3 | フィリピン | 243,662 | 10.2% | + 6.1% |
4 | ベトナム | 199,990 | 8.4% | +36.1% |
5 | ブラジル | 180,923 | 7.6% | + 4.3% |
6 | ネパール | 67,470 | 2.8% | +23.2% |
7 | 米 国 | 53,705 | 2.3% | + 2.7% |
8 | 台 湾 | 52,768 | 2.2% | + 8.3% |
9 | ペ ル ー | 47,740 | 2.0% | + 0.0% |
10 | タ イ | 47,647 | 2.0% | + 5.0% |
そ の 他 | 340,299 | 14.3% | + 9.9% |
2.在留資格別
在留資格別では、技能実習が18.7%増で過去最多。政府が推進している留学が12.4%増となっており、この二つが全体的な増を引っ張っています。なお、不法残留者も6万5270人で3年連続増加しています。
在留資格 | 人数 | 構成比 | 増減率 | |
1 | 永 住 者 | 727,111 | 30.5 | + 3.8% |
2 | 特別永住者 | 338,950 | 14.2% | - 2.8% |
3 | 留 学 | 277,331 | 11.6% | +12.4% |
4 | 技 能 実 習 | 228,588 | 9.6% | +18.7% |
5 | 定 住 者 | 168,830 | 7.1% | + 4.5% |
そ の 他 | 642,012 | 26.9% | +10.3% |
3.ブラジル人(日系人)の増減
ブラジル人の増減について下表にまとめてみました。そのほとんどを定住者である日系人が占めています。2009年のリーマンショックで大きく減少した後、減少傾向が続いていましたが、9年ぶりに増加に転じました。ブラジルの不景気もその原因で、厚生労働省が発表している「外国人雇用の届出状況」を見ても、日本で合法的に就業できる日系人が再び戻ってきているようです。
2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | |
人数 | 308,703 | 313,771 | 309,448 | 264,649 | 228,702 | 20,265 | 190,609 | 181,317 | 175,410 | 173,437 | 180,923 |
増減 | ー | 5,068 | -4,323 | -44,799 | -35,947 | -19,437 | -18,656 | -9,292 | -5,907 | -1,973 | 7,486 |
増減率 | ー | 1.64% | -1.38% | -14.48% | -13.58% | -8.50% | -8.92% | -4.87% | -3.26% | -1.12% | 4.32% |
4.まとめ
日本の雇用情勢が改善している中、日本の労働力不足を実質的に補っている「技能実習」と、政府が公約に掲げる「留学生」の増が在留外国人の増加を引っ張っています(留学生も重要な労働力でもあります)。
また、もう一つ注目されるのが、高度の専門的な能力を持つ外国人の受け入れを促進させるため、2014年(平成26年)に新設された「高度専門職」ビザ。母数は少ないものの、昨年比149%増となっています。
技能実習、留学生、高度専門職、定住者とも、日本に貢献できる人は残っていただきたいと思いますし、そのためには受け入れ態勢を更に整えていくことが必須ですね。
外国人との「共生を考える」第七部、「父から夢バトン」日系人子弟、苦労しながら大学生へ
毎日新聞滋賀県版の特集「共生を考える」第7部のご紹介。2017年1月に掲載されたものです。今回は、3歳で家族とともに来日した日系人女性(三世)ミドリさんの物語。両親は出稼ぎ目的で、忙しい工場勤務。家での会話はポルトガル語で、小学校に入学して初めての日本語での学習に戸惑います。しかし、当初は辛かった学校生活も、2年生で日本語を話せるようになり、3、4年生では家族の通院や父の車検手続きの通訳を引き受けるまでに上達。生活にも慣れて、日本が自分の国だと実感するようになり、家族の意識は「出稼ぎではなく、定住へ」と変わります。
日系人子弟にとって、進学も簡単ではありません。勉強が得意ではなかったミドリさんは、お父さんからの「工場で仕事するのは大変だ。言葉がしゃべれないから、見て覚えて作業をしていく。勉強をしなかったら工場しか残らないよ」という、自身の体験に裏付けされた言葉に発奮。経済的に私立高校はあきらめざるをえなかったが、なんとか公立高校に合格。ブラジルで大学進学をあきらめたお父さんに対して、「すごく勉強して神様が手伝ってくれたら大学に行くね」と誓います。
しかし、そのお父さんはミドリさんが高校一年の時に不幸にも事故で亡くなってしまいます。ミドリさんは定時制高校に転校し働きながら5年かけて卒業。専門学校を経て、京都外大の3年次の編入試験に合格し、今年から晴れて大学生となります。将来は、小学校での日本語教室担当となり、外国籍の児童生徒を同じ気持ちで助けられる先生になることを思い描いているということです。苦労しながらも、父の夢から自分の夢に向かって努力しているミドリさんを応援したいです。
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